ドイツ移住ガイド
送金・年金2026.07.29 更新

ドイツの育児手当 Elterngeld【2026】金額・期間・外国人の受給条件

ドイツの育児手当 Elterngeld を在住者が整理。2026 年の Basis €300〜1,800・ElterngeldPlus・所得上限 €175,000・自営(§21)の算定・外国人の受給条件・申請先まで。

Kazuki Kagami
在独フリーランス (ベルリン)・本サイト運営者
8

結論

先に結論

Elterngeld(育児手当) は、出産後に働けない/働く時間を減らした期間の所得を補償する給付。児童手当 Kindergeld とは別制度。2026 年は Basiselterngeld 月 €300〜€1,800(出産前手取りの 65〜100%)、期間は 1 親 12 か月 + パートナー月 2 = 最長 14 か月世帯の課税所得(zvE)が年 €175,000 を超えると受給不可自営(§21)は前暦年の利益で計算され会社員とルールが違う。金額は毎年動くので必ず公式で確認を。

ドイツで出産する日本人(会社員・フリーランス・帯同配偶者)向けに、Elterngeld の金額・期間・外国人の受給条件・申請 を整理します。児童手当は別記事 ドイツの児童手当 Kindergeld を参照。

金額・所得上限は毎年動く

本ページの金額は 2026 年時点で確認した目安です。額・所得上限・加算は法改正で変わります。申請前に必ず FamilienportalBEEG §2 で最新値を確認してください。

Elterngeld とは(Kindergeld・Elternzeit との違い)

3 つは混同しやすいので先に整理します。

制度性質ざっくり
Kindergeld児童手当(毎月の定額給付)子 1 人 月 €259(→ 児童手当
Elterngeld育児手当(出産後の所得補償)月 €300〜1,800・最長 14 か月(本ページ)
Elternzeit育休(無給の雇用保護)最大 3 年・職が守られる制度(お金は Elterngeld で受ける)

Kindergeld と Elterngeld は両方受給できます(別制度・別窓口)。

Basiselterngeld の金額

  • 補償率: 出産前の手取り月収の 65% が基本。低所得ほど率が上がり 最大 100%(手取り約 €1,000 以下から段階的に上昇)。
  • 下限 €300 / 上限 €1,800:所得ゼロでも €300 は出る。手取りは 月 €2,770 までが算定に参入(×65%≒€1,800)。
  • 出典: BEEG §2(正確な刻みは要確認)。

期間(12 + 2 か月 / ひとり親 14 か月)

  • 1 親で最長 12 か月。両親がそれぞれ最低 2 か月取ると +2 か月(Partnermonate)= 世帯計 14 か月
  • ひとり親は単独で 14 か月
  • 2024 年 4 月以降の出生は、両親が同時に Basiselterngeld を受けられるのは最初の 12 か月で 1 か月まで(早産・多胎・障害児は例外)。同時に長く取りたい場合は ElterngeldPlus を使う。
  • 出典: BEEG §4

ElterngeldPlus と Partnerschaftsbonus

  • ElterngeldPlus: 月額は €150〜€900(Basis の半分)だが、期間は 2 倍(Basis 1 か月=Plus 2 か月)。週 32 時間までの時短勤務と併用しやすい。
  • Partnerschaftsbonus: 両親がそろって 週 24〜32 時間働く月に、+2〜4 か月の Plus を追加できる(ひとり親も条件を満たせば可)。
  • 出典: BEEG §4a / §4b

所得上限(zvE 年 €175,000)

  • 世帯の課税所得(zu versteuerndes Einkommen)が年 €175,000 を超えると、受給額は €0
  • 夫婦・ひとり親のどちらにも €175,000 が適用(2025 年 4 月以降の出生)。額面給与ではなく**税務署の確定額(Steuerbescheid の zvE)**で判定。
  • 出典: BEEG §1

加算(きょうだい・多胎)

  • Geschwisterbonus(きょうだい加算): +10%(最低 €75/月、Plus は €37.50)。3 歳未満の上の子が 1 人、または 6 歳未満が 2 人などが条件。
  • Mehrlingszuschlag(多胎加算): 2 人目以降 1 人につき +€300/月(Plus は €150)。双子なら +€300、三つ子なら +€600。
  • 出典: BEEG §2a

フリーランス・自営(§21)の算定 — 会社員と別ルール

ここは在住フリーランスが最も間違えやすい論点です。

  • 算定期間が違う: 会社員は「出産前 12 か月」だが、**自営は前暦年(前年 1〜12 月)の利益(Gewinn)**で計算(BEEG §2b/§2d)。例: 2026 年 5 月出産 → 算定は 2025 暦年
  • 利益ベース(売上ではない): 経費で利益を圧縮していると Elterngeld も下がる。節税と Elterngeld はトレードオフになりうる。
  • 暫定 → 本決定の罠: その年の Steuerbescheid が未了だと 暫定額で支給 → 後で本決定で再計算。実利益が低ければ返還(Rückforderung)
  • 受給月に働くと減額: Bezugsmonate 中の自営利益は相殺される。
自営は「いつ出産予定か」で戦略が変わる

算定が前暦年ベースなので、利益の多い年の翌年に出産が重なると受給が増え、赤字/低利益の年の翌年だと減ります。節税(経費計上)と Elterngeld 最大化は逆方向に働くことがある論点です。設計は税理士へ(本ページは助言ではありません)。

Mutterschaftsgeld との関係

  • 産後の Mutterschaftsgeld(母性手当)+ 雇用主上乗せは、Elterngeld と €1:€1 で相殺され、その月は母の Basiselterngeld を消費したものと扱われる(BEEG §3)。
  • 実務上、産後 2 か月ほどは母の Elterngeld は実質 €0 になり、その 2 か月分を消費する形になりやすい。

外国人(非 EU)の受給条件

  • ○ 対象: 定住許可 / Daueraufenthalt-EU / Blue Card、または就労を認める Aufenthaltserlaubnis(就労中・Elternzeit 中・3 年以上の合法滞在等)。フリーランス §21・就労 §18a/b は就労可なら対象。
  • ✕ 原則対象外: 留学 §16b・求職 §20・ワーキングホリデー。就労不可の付記があるビザも不可。
  • 根拠: BEEG §1 Abs.7。ビザ変更中の Fiktionsbescheinigung 時は支払保留になりやすい点は 児童手当の記事 と同様。

申請はどこで?

  • 州の Elterngeldstelle(Kindergeld の Familienkasse とは別窓口)。多くの州で Elterngeld Digital のオンライン申請に対応。
  • 出生後は Kindergeld(Familienkasse)と Elterngeld(Elterngeldstelle)を別々に申請する。出生証明書(Geburtsurkunde)は用途別に複数部もらっておくと楽。

ペルソナ別

A. 会社員

B. フリーランス §21

  • 算定は前暦年の利益。出産予定と利益の年をにらんで早めに準備。暫定→本決定の再計算に注意。

C. 帯同配偶者

  • 配偶者が就労可の滞在許可(§28/§30 等)を持つかで対象可否が変わる。→ 家族帯同ビザ

FAQ

Q1. Kindergeld と Elterngeld は両方もらえますか?

A1. 両方もらえます。別制度・別窓口です。Elterngeld の計算で Kindergeld は差し引かれません。

Q2. フリーランスは会社員より少なくなりがちですか?

A2. 前暦年の利益ベースなので、経費で利益を圧縮していると受給額が下がります。逆に利益の多い年の翌年に出産が重なると増えます。

Q3. ワーホリや留学ビザでももらえますか?

A3. 原則もらえません。就労を認める滞在許可が要件です(BEEG §1 Abs.7)。

Q4. 2026 年の所得上限は?

A4. 世帯の課税所得(zvE)年 €175,000(2025 年 4 月以降の出生)。超えると €0 です。

Q5. Mutterschaftsgeld と二重取りできますか?

A5. できません。産後の Mutterschaftsgeld は Elterngeld と 相殺され、その月は Basis を消費します。

Q6. 申請はいつ・どこで?

A6. 出産後、州の Elterngeldstelle(Elterngeld Digital 等)へ。Kindergeld とは別窓口です。遅れると初月分を取り逃すので早めに。

関連記事

関連ツール

出典・参照

本記事の数値・期限・制度説明は、以下の公式一次ソースと突合済 (2026-07-29 時点)。

  1. BEEG §2 - Elterngeld の額(公式)gesetze-im-internet.de
  2. BEEG §1 - 受給資格・所得上限(公式)gesetze-im-internet.de
  3. BEEG §2b - 自営業者の算定期間(公式)gesetze-im-internet.de
  4. Familienportal - Elterngeldfamilienportal.de
  5. Elterngeld Digital(公式オンライン申請)elterngeld-digital.de