ドイツ移住ガイド
送金・年金2026.08.12 更新

ドイツへの送金に届出は必要?100 万円超の扱い【2026】

日本からドイツへ送金するとき自分で届け出は要るのか。100 万円超の国外送金等調書は誰が出すのか、マイナンバーを聞かれる理由、3,000 万円超で本人に報告義務が生じる外為法の線引きを条文から整理します。

Kazuki Kagami
在独フリーランス (ベルリン)・本サイト運営者
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結論(先に要点)

先に結論

100 万円を超える送金でも、税務署に書類を出すのは銀行であって、あなたではありません。あなたがするのは、送金依頼時にマイナンバーを伝えることだけです。本人に報告義務が生じるのは 3,000 万円超からです。

「100 万円を超えると税務署に届け出が要る」と聞いて不安になる方が多いのですが、主語が入れ替わって伝わっていることがほとんどです。整理すると次のようになります。

金額何が起きるか誰が出すか
100 万円以下調書は提出されない
100 万円超金融機関が「国外送金等調書」を税務署長に提出金融機関
送金時(金額を問わず告知書を出す場合)「告知書」にマイナンバーを記載して金融機関へ本人
3,000 万円相当額超「支払又は支払の受領に関する報告書」を提出本人(日本銀行経由で財務大臣宛)

つまり、普通の生活費・学費・Sperrkonto への入金レベルであれば、あなたが役所に出す書類はありません。銀行の窓口やオンライン送金の画面でマイナンバーを求められるのは、この仕組みのためです。

100 万円超で提出される「国外送金等調書」とは

出すのは銀行、あなたではない

根拠は 国外送金等調書法(正式名称:内国税の適正な課税の確保を図るための国外送金等に係る調書の提出等に関する法律)です。条文の構成がそのまま答えになっています。

  • 第 3 条「国外送金等をする者の告知書の提出等」— 送金する本人が金融機関に告知書を出す
  • 第 4 条金融機関国外送金等調書を所轄税務署長に提出する

混同されやすいのですが、「調書」と「告知書」は別物です。税務署に行くのは調書で、これは銀行の仕事です。

100 万円という金額はどこに書いてあるか

法律本体には金額の記載がなく、施行令 第 8 条にあります。

(国外送金等調書の提出を要しない国外送金等の上限額) 第八条 法第四条第一項に規定する政令で定める金額は、百万円とする。

条文の見出しが「提出を要しない上限額」であることに注目してください。100 万円以下なら調書は出ない、裏を返せば超えたら出るという書き方です。「100 万円を超えたら申告が必要」ではなく「100 万円を超えたら銀行が報告する」が正確な理解になります。

外貨建て(EUR 建て)で送る場合の円換算は、財務省令で定める外国為替相場を用いると同条第 2 項に定められています。€ で送っても、円に直して 100 万円を超えれば対象です。

1 回あたりの判定

調書は送金 1 回ごとに判定されます。年間の合計額ではありません。

意図的な分割は避けてください

「100 万円以下に分ければ調書が出ない」と考えて送金を細かく分けるのは、目的が報告回避にあると判断されうる行為です。制度の趣旨は課税の適正化であり、正当な送金であれば調書が出て困ることは何もありません。手数料も回数分かかるので、実務上も損です。

なぜマイナンバーを聞かれるのか

第 3 条は、告知書に氏名・住所・個人番号(マイナンバー)を記載し、金融機関の営業所等の長に住民票の写しなどの確認書類を提示する(または署名用電子証明書を送信する)ことを定めています。金融機関側には、告知書の記載内容と確認書類が一致するかを確認する義務があります。

つまり、送金画面でマイナンバーを求められるのは銀行が過剰な情報を集めているのではなく、法律で定められた手続きです。拒否すると送金自体を受け付けてもらえません。

3,000 万円超は「本人が」報告する

ここだけは主語が変わります。外国為替及び外国貿易法(外為法)第 55 条に基づく「支払又は支払の受領に関する報告書」です。

  • 1 回の支払または受領が 3,000 万円相当額を超える場合が対象
  • 提出するのは本人(居住者)
  • 提出先は財務大臣宛で、日本銀行を経由する事後報告

日本銀行の外為法手続きページに、報告書の様式・記入の手引き・事例集がまとまっています。住宅購入資金の送金など、まとまった額を動かす場合はここを確認してください。

ドイツ移住でよくあるケース別

ケース典型的な金額調書本人の報告
生活費の仕送り数十万円出ない不要
Sperrkonto への入金€11,904 前後出る可能性が高い不要
引越し資金のまとめ送金100〜500 万円出る不要
年金脱退一時金の受取数十万〜数百万円金額次第不要(3,000 万円以下なら)
住宅購入資金3,000 万円超出る必要

Sperrkonto は、ドイツの学生ビザ等で求められる残高(2026 年時点で年額 €11,904)を預ける口座です。円換算すると ¥2,205,800 前後になり、多くの場合 100 万円を超えます。ここで「調書が出る」ことに驚く方がいますが、正規の手続きなので問題ありません。

金額が大きいぶん、為替レートの差がそのまま金額差になるのもこのケースです。手段ごとの違いは次のセクションで扱います。

送金手段による違い

調書の提出義務は金融機関に課されています。法律上の「金融機関」は「銀行その他の政令で定める金融機関」(第 2 条第 3 号)と定義されています。

銀行送金以外の手段(送金サービス事業者など)を使う場合の取り扱いは、事業者の登録区分によって異なります。利用する事業者の説明を確認してください。

どの手段でも「隠せる」わけではない

報告の枠組みは複数あり、送金手段を変えれば記録が残らないという性質のものではありません。制度を回避する目的で手段を選ぶ発想は持たず、手数料と為替レートで選ぶのが実務的です。

届出が自動で片づくなら、比べるべきは「レート」

ここまでを踏まえると、100 万円を超える送金であなたがやることは増えません。調書は銀行が出し、あなたはマイナンバーを伝えるだけです。

つまり、送金手段を選ぶ基準として残るのは手数料と為替レートです。そしてこの記事が扱っているのは、まさに金額の大きい送金です。

為替の上乗せ(スプレッド)は送金額に比例するため、金額が大きいほど手段による差額の絶対値が膨らみます。数万円の仕送りなら誤差でも、Sperrkonto 入金や引越し資金のようなまとまった送金では、同じ 1% でも数万円単位の違いになります。大きく動かす回だからこそ、レートを一度だけ比べておく価値があります。

送金手段の選択は届出義務を変えません

Wise を含め、どの手段を使っても本記事で説明した報告の枠組みは変わりません。レートで選ぶのは経済的な判断であって、届出を回避する手段ではない点は改めて確認してください。

自分のケースで確認すべき点

  • 1 回の送金額が 100 万円相当を超えるか(超えても、あなたの手続きは増えない)
  • マイナンバーを手元に用意しているか(送金時に必ず求められる)
  • 3,000 万円相当を超える予定があるか(超えるなら日本銀行の様式を事前に確認)
  • 送金理由を説明できるか(告知書に送金原因を記載する)
  • 外貨建ての場合、円換算でいくらになるか

FAQ

Q1. 100 万円を超えたら、自分で税務署に何か出すのですか?

A1. いいえ。 提出義務があるのは金融機関で、書類名は「国外送金等調書」です(国外送金等調書法 第 4 条)。あなたが行うのは、送金時に金融機関へ告知書を出し、マイナンバーを伝えることだけです(同法 第 3 条)。

Q2. 100 万円ちょうどはどうなりますか?

A2. 施行令 第 8 条は「提出を要しない上限額は 100 万円」と定めているため、100 万円ちょうどは調書の対象外、超えた時点で対象です。

Q3. 調書が出ると税金がかかるのですか?

A3. 調書の提出と課税は別です。調書は課税の適正化のために国税当局が取引を把握する仕組みで、送金したこと自体に課税されるわけではありません。ただし送金の原資が課税対象の所得(未申告の収入・贈与など)である場合は、その所得に対する申告義務が別途あります。判断に迷う場合は税理士にご相談ください。

Q4. ユーロで送った場合の 100 万円判定は?

A4. 施行令 第 8 条第 2 項により、財務省令で定める外国為替相場で円に換算して判定します。€ 建てでも円換算で 100 万円を超えれば対象です。

Q5. 受け取る側(ドイツから日本への送金)も対象ですか?

A5. 対象です。条文は「国外送金又は国外からの送金等の受領」を並べて定めており、受領も同じ枠組みに入ります。帰国時にドイツの口座から日本へ資金を戻す場合も同様です。

Q6. 分割して送れば調書を避けられますか?

A6. 技術的には 1 回ごとの判定ですが、報告回避を目的とした分割は避けてください。正当な送金であれば調書が出ても不利益はなく、手数料が回数分かかるだけ損になります。

Q7. ドイツ側でも何か申告が必要ですか?

A7. 本記事は日本側の手続きを扱っています。ドイツ側の税務上の扱い(贈与とみなされるか等)は居住状況や送金の性質によって変わるため、ドイツの税理士(Steuerberater)にご確認ください。確定申告の基本も参考にしてください。

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出典・参照

本記事の数値・期限・制度説明は、以下の公式一次ソースと突合済 (2026-08-12 時点)。

  1. 国税庁 - 国外送金等調書(同合計表)nta.go.jp
  2. 国税庁 - 国外送金等調書 手続案内nta.go.jp
  3. e-Gov 法令検索 - 国外送金等調書法(平成九年法律第百十号)laws.e-gov.go.jp
  4. e-Gov 法令検索 - 国外送金等調書法施行令(第八条・上限額 100 万円)laws.e-gov.go.jp
  5. 日本銀行 - 外為法に関する手続き(支払等の報告)boj.or.jp
  6. 財務省 - 外国為替関係mof.go.jp