ドイツ フリーランスビザ × 配偶者帯同ビザ(日本人夫婦)
結論
ドイツのフリーランスビザ保持者は、**配偶者を帯同ビザ(Familiennachzugsvisum)**で呼び寄せられます。日本人カップル向けの日本語情報は皆無に近いですが、要件は明確で、必要なものは 3 点:
- 婚姻の証明(戸籍謄本の独語訳 + アポスティーユ)
- 配偶者の独語 A1 証明(一部例外あり)
- フリーランスビザ保持者の収入・住居が家族 2 人分を満たす証明
本記事は、執筆者がフリーランスビザを取得し、配偶者が帯同ビザを取得した一次体験を元に整理します。
法的な位置づけ
ドイツ滞在法 §29-30(家族の呼び寄せ・Familiennachzug)が根拠。EU ブルーカードや就労ビザだけでなく、**フリーランスビザ(§21 Abs. 5)**保持者の配偶者にも適用されます。
このルートでドイツに来た配偶者は、就労制限なしで働けます:
- フルタイム雇用
- パートタイム
- フリーランス(独自に Finanzamt 登録すれば可)
- 業種制限なし
これは EU の家族統合指令(Family Reunification Directive)に基づく権利で、ビザ種別による差別がありません。
帯同ビザの要件
1. 婚姻関係の証明
- 結婚証明書(戸籍謄本または婚姻届受理証明書)
- 日本の外務省で アポスティーユ取得
- 認定翻訳者によるドイツ語翻訳
- 婚姻が偽装でないことの証明(共同生活の意思)
2. ドイツ語 A1(日本人は免除)
帯同ビザの原則は A1 レベルのドイツ語能力証明ですが、日本国籍は §41 AufenthV により法律上 A1 が免除されています(自動適用、申請不要)。同じ免除対象:米国・カナダ・オーストラリア・ニュージーランド・韓国・イスラエル・英国の国籍者。
重要:執筆者の妻も帯同ビザ取得時に A1 試験は不要でした。フリーランスビザ保持者の日本人配偶者は、語学要件なしで申請できます。
ただし実務上の注意:
- 窓口の担当官によっては「A1 が必要」と言ってくる場合がある
- その場合は §41 AufenthV と国籍免除を伝える
- 不安なら申請前に §41 AufenthV を引用した書面を準備
A1 免除以外の例外ケース(参考):
- 18 歳未満
- 病気・障害でドイツ語学習が困難な場合
- EU ブルーカード保持者の配偶者
3. 経済的基盤
フリーランスビザ保持者(呼び寄せ側)が以下を満たす:
- 十分な収入:単身時の生計費 €563 + 配偶者分 €369(推定、2025 年基準)= 月額 €932 以上の生計費の余力
- 十分な居住スペース:2 人なら最低 45 m² 程度(州ごとに基準が違う)
- 健康保険のカバー(配偶者分も含む計画)
4. その他
- 配偶者のパスポート(残存有効期間が滞在期間より長いこと)
- 生体認証写真
- 申請料
申請の流れ
パターン A: 配偶者が日本側で先に申請
これが最も一般的なルート。
- 日本にいる間に駐日ドイツ大使館で長期ビザ申請
- 婚姻証明 + A1 証明 + 在独配偶者の収入証明等を提出
- 大使館の判断後、3-6 か月で長期ビザ(D ビザ)が発給
- 入国 → ドイツ国内で Anmeldung → Ausländerbehörde で滞在許可への切替
パターン B: 配偶者が観光で先に入国
日本人は 90 日のビザ免除で入国できるため:
- 配偶者が観光ビザで入国
- すぐに Anmeldung → 住民登録証取得
- Ausländerbehörde で帯同ビザ(滞在許可)を申請
- 仮許可(Fiktionsbescheinigung)で滞在しながら判定待ち
このルートは 可否が個別判断になります。多くの場合 OK ですが、入国時の意図と異なる滞在目的の申請になるため、A1 証明や婚姻証明の準備を全て揃えた上で短期間で動く必要があります。
パターン C: フリーランスビザと同時申請
夫婦同時にドイツに渡る場合、Ausländerbehörde で同時申請が可能です:
- 両者がドイツ入国 → Anmeldung
- 同じ予約枠で Ausländerbehörde 訪問(家族同伴の申請枠を予約)
- 本人がフリーランスビザ、配偶者が帯同ビザを 同じ窓口で申請
これが最もシンプルですが、準備書類の量は最大になります。
ja 特有の注意点(一次体験)
1. 戸籍の翻訳とアポスティーユ
日本の戸籍謄本は、外務省でアポスティーユ取得 → 認定翻訳者にドイツ語訳が標準ルート。
実体験から:
- 日本でアポスティーユのみ取得(外務省窓口で約 1 週間、無料)
- ドイツで認定翻訳者に翻訳依頼(1 通 €50〜100、納期 1〜2 週間)
- 必ず日本で取っておくこと。ドイツから日本側に申請を頼むと数か月の遅延
2. 書類準備が一番の山場(一次体験)
執筆者の妻の帯同ビザ取得で 一番大変だったのは書類準備でした。具体的に:
- 戸籍謄本のアポスティーユ + 認定翻訳
- 在独配偶者(執筆者)の収入証明(過去 3-6 か月の請求書 + 入金記録)
- 賃貸契約書(住居面積の証明)
- 婚姻関係の継続性を示す写真・共同銀行口座の記録
- 健康保険のカバー範囲証明
A1 が不要なため、語学準備の負担はなしでしたが、書類の整合性(氏名のローマ字、日付、住所等)を全部一致させるのが地道で時間がかかりました。
2b. A1 不要だが「念のため対策」
A1 免除セクションで触れた通り、§41 AufenthV により日本人配偶者は A1 不要ですが:
- 担当官によっては A1 を求めてくることが報告されている
- 念のため、§41 AufenthV を引用した書面 / ドイツ大使館 FAQ ページのプリントを 持参
- 申請書類への記入欄では「A1 nicht erforderlich gemäß §41 AufenthV」と明記
3. ベルリンの Ausländerbehörde の特性
Berlin の Landesamt für Einwanderung(LEA)は予約システムが独自で、Anmeldung と同様に予約難民問題があります。
- オンライン予約:berlin.de/einwanderung
- 配偶者帯同の予約枠は通常の滞在許可と分けて指定
- 朝の解放時間に張り付くか、家族同伴での申請枠を狙う
4. 居住スペース基準
ベルリンの 1LDK アパート(35-45 m²)が「夫婦の最低基準」ギリギリ。 快適なら 50 m² 以上を目安に。賃貸契約書のうち、**Wohnfläche(居住面積)**の数字が窓口で確認されます。
5. 共同口座か別口座か
配偶者の Anmeldung 後は、共同銀行口座(Gemeinschaftskonto)も別口座も可能です。家計を一本化したいなら N26 等のオンライン銀行で共同口座を作るのが最速。
自分のケースで確認すべき点
- 婚姻証明書を日本で取得・アポスティーユ済みか
- §41 AufenthV による A1 免除を引用した書面を持参準備
- フリーランスビザの収入が家族 2 人分の生計費を上回るか
- 住居が 45 m² 以上か(州により基準異なる)
- 健康保険を配偶者分も計画しているか
- 申請パターン A / B / C のどれが自分たちの状況に合うか
- ドイツ語が話せない配偶者の窓口対応の準備(通訳・同伴)
FAQ
Q1. 帯同ビザ取得後、配偶者はすぐに働けますか?
A1. はい、就労制限なしで働けます。フリーランスとしても登録可能(Fragebogen zur steuerlichen Erfassung で Finanzamt 登録)。
Q2. 帯同ビザの有効期間は?
A2. 本人のフリーランスビザの有効期間と連動します。本人が 1 年なら帯同も 1 年、本人が 3 年なら帯同も 3 年。
Q3. 帯同ビザのままで永住権を取れますか?
A3. はい、3 年間の継続滞在 + A1 から B1 への独語上達 + 経済的自立で **Niederlassungserlaubnis(永住許可)**を申請できます。
Q4. 配偶者がドイツで離婚した場合、滞在資格はどうなりますか?
A4. ケースによって異なります。3 年以上の婚姻継続後の離婚であれば、独立して滞在許可を継続できる場合があります(個別判断)。
Q5. 帯同ビザの申請が却下されたら?
A5. 書類不備(A1 証明欠落、収入証明不十分等)が主な却下理由。3 か月以内に再申請可能。本人のビザがある間は、配偶者は 90 日の観光ビザを切り替えて再申請の準備ができます。
Q6. 帯同ビザ保持者も独自のフリーランスビザに切替できますか?
A6. はい、滞在中に §21 Abs. 5 への切替を申請できます。婚姻関係に依存しない滞在資格になります。